多くの人は、外国出身の児童生徒は日常生活に必要な日本語力を身につけると、あとは自然に学力も身についていくと考えているようだ。しかし、学校の先生も保護者も、次第に「日本語は話せるのに、学校の勉強ができるようにならない子どもがいる」ことに気がついていく。
なぜこのようなことが起きるのか。それは、出身国で受けた教育と日本の教育とが異なるからである。例えば、小学校の時に理科を全く学習しない国もある。そのような国から来日した子どもが、日本の中学校で理科の授業を受けても理解できないのは当然である。
そのため、外国出身の児童生徒を指導する者は、その子が持っている学力を分析・診断して、日本で求められる学力と突き合わせて、どのような力を、どのようにつけていけば良いのか、計画を立てなければならない。
これには、日本語が指導できるだけでなく、日本の学校教育についての専門的な知見が必要である。
次の記事で示す「指導計画の例」は、中学2年の4月に来日して、3年の後期では朝日新聞の「天声人語」が読めるようになり、卒業時には偏差値65の高校に合格した生徒の例である。もちろん、来日時には日本語が全くできなかった。
しかし、知的な基盤が充分整い、算数・数学などの基礎学力が備わっている生徒に、適切な指導が加えられて、さらに本人が努力すれば、短期間に大きな成果をあげることができる。日常生活の日本語ができるようになれば、あとは「自然に」学力が身につくわけでは決してないことを理解して欲しい。
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